40~74歳でみると、男性の2人に1人、女性の5人に1人が、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が強く疑われる者(該当者)又は予備群と考えられる者であり、該当者数約1070万人、予備群者数約940万人、併せて約2010万人と推定されました。メタボリックシンドロームになると、糖尿病、高血圧症、高脂血症の一歩手前の段階でも、これらが内臓脂肪型肥満をベースに複数重なることによって、動脈硬化を進行させ、ひいては心臓病や脳卒中といった命にかかわる病気を急速に招きます。

メタボリック症候群とは

メタボリック症候群とは、内蔵脂肪が増えることにより、肥大化した脂肪細胞からサイトカインの作用によりインスリン抵抗性(糖を下げるインスリンの効果が効きづらくなる)を引き起こし、糖・脂肪代謝異常、高血圧などが発症していく病態をいいます。そして、生活習慣病のほとんどが、メタボリック症候群から起因として発症していくことが解かってきました。

血管の老化(硬化)

高血圧、糖代謝異常(糖尿病)、高脂血症(脂質異常症)、喫煙、肥満がある人は血管を痛める(細小血管障害・大血管障害)リスクが飛躍的に増してきます。細小血管障害が起きると糖尿病三大合併症である腎不全・網膜症・末梢神経障害、そして大血管障害が起きると、脳卒中・虚血性心疾患などの致命的な合併症を引き起こします。
「人は血管とともに老いる」 とは、ウイリアム・オスラー博士の有名な言葉ですが、健康的に若々しく生きるには、血管の老化(硬化)を防ぐ必要があります。メタボリック症候群は生活習慣病の起因でもあることから、一次予防としてメタボリック症候群にならないように努めなければなりません。

インスリン抵抗性

インスリンを受け取る細胞側にある「インスリン受容体」がうまく働かないことにより、血液の中のブドウ糖をうまく細胞へと吸収できなくなるため、血中のブドウ糖の量がなかなか減らずに(血糖値がなかなか下がらずに)、高血糖の状態が長く続きます。インスリン抵抗性の原因も肥満(内蔵脂肪)が関係があるのでメタボリック症候群にならないように努めなければなりません。

メタボリック症候群診断基準

  • 該当者

    メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が強く疑われる者腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上で、3つの項目(血中脂質、血圧、血糖)のうち2つ以上の項目に該当する者

  • 予備群

    メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予備群と考えられる者腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上で、3つの項目(血中脂質、血圧、血糖)のうち1つに該当する者